意見書案第8号
地方分権に逆行する地方自治法改正の施行をやめるよう求める意見書提出の件
上記意見書案を次のとおり西宮市議会会議規則第14条第1項の規定により提出する。
令和6年7月4日提出
提出者 西宮市議会議員 野口 あけみ
〃 一色 風子
〃 佐野 ひろみ
〃 庄本 けんじ
〃 田中 あきよ
〃 三好 さつき
〃 村上 ひろし
〃 よつや 薫
地方分権に逆行する地方自治法改正の施行をやめるよう求める意見書(案)
今国会で、大規模災害や感染症の蔓延時のほか、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事
態やその発生の恐れがある」と政府が判断した際に、国が地方自治体に対応を「指示」で
きる仕組みを新設する地方自治法の改正が可決・成立した。
現行法では、災害対策基本法や新型インフルエンザ等対策特別措置法など個別の法に規
定がある場合のみ、国は地方に指示できるが、改正案は、新型コロナ禍で国と地方の調整
が難航したなどとして、非常事態時には個別法に基づかずに「国は必要な指示をすること
ができる」とし、その指示も閣議だけで決め、国会の承諾も不要となっている。また、法
的拘束力のある「指示」を国が自治体に発すれば、自治体が従わなければ「違法行為」と
判断される可能性もあるとされている。特に、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態や
その発生の恐れがある事態」とは、安全保障に関する緊急事態=戦争の危機なども含まれ
ることがあり得り、識者からも懸念の声が広がっている。
1993年、衆参両院が地方自治体の自主・自律性を強化することが急務だと決議し、
2000年施行の地方分権一括法でも、国と地方自治体の関係は「上下・主従」ではなく
「対等・協力」であり、国の関与は必要最小限にすべきとした。今回の改正案は、この地
方分権の流れに逆行し、憲法が保障する団体自治、住民自治をも根本から破壊するもので
ある。
全国知事会は5月10日、この度の改正案が「憲法で保障された地方自治の本旨や地方
分権改革により実現した国と地方の対等な関係が損なわれるおそれもある」としている。
よって国におかれては、地方分権に逆行する地方自治法改正の施行をやめるよう、地方
自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年7月 日
西宮市議会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣