意見書案第11号
医療機関の経営危機に対する財政支援を求める意見書提出の件
上記意見書案を次のとおり西宮市議会会議規則第14条第1項の規定により提出する。
令和2年7月9日提出
提出者 西宮市議会議員 野口 あけみ
〃 佐藤 みち子
〃 ひぐち 光冬
〃 まつお 正秀
医療機関の経営危機に対する財政支援を求める意見書(案)
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて4月7日から実施されていた緊急事態宣言が
解除されたが、第2波、第3波の感染拡大も予想され、長期戦を見据えた対策が求められ
ている。
そうした中で、感染拡大の防止と感染症患者の治療を担ってきた医療機関が、今、深刻
な経営危機に陥っている。全国の病院でつくる全日本病院協会、日本病院会、日本医療法
人協会の3団体は国の助成強化を強く求めている。病院が感染症患者を受け入れるために
ベッドを空ければ減収になり、医師や看護師ら医療関係者も感染症患者対応のための体制
を確保しなければならない。一般患者と隔離するためには一般診療や入院患者数の縮小も
余儀なくされ、ほとんどの病院で莫大な減収が見込まれている。
医療機関の減収分に対する助成を決めた東京都杉並区の試算によれば、1病院当たり月
額約1億2,800万円から約2億8,000万円の減収が生じるとされている。財政的
保障の裏付けがないままでは、感染症患者の受け入れはもちろん、病院経営を続けること
はできない。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制は感染症患者を受
け入れている医療機関に限らず、開業医や一般病院でも起きており、患者数が激減してい
る。政府の医療費抑制政策で厳しい経営を強いられているところに今回のコロナ禍が重な
り、収益の悪化によって病院が次々に倒産しかねないのが現状である。
兵庫県においても、兵庫県保険医協会が行った県内の病院51、医科診療所647、歯
科診療所177など合計878の医療機関へのアンケートでは、4月の患者数は前年同月
比で、医科診療所が87.3パーセント減、歯科診療所が93.8パーセント減と大幅な
落ち込みとなっており、全国的な減収を裏付ける回答結果となっている。
ところが、政府の今年度の第一次補正予算では、医療機関への補償は「包括支援交付
金」の1,490億円にすぎない。また、第二次補正予算では、コロナ対応の医療機関に
1・2兆円規模の財政支援を行うとしているが、一方、非コロナ医療機関、地域医療の経
営危機に対する財政支援はまったくない。このような内容、規模の予算では、医療崩壊を
止めることはできない。予算を大幅に拡大し、医療機関の経営危機を打開するために、あ
らゆる手立てを尽くすことが必要である。
よって、国においては、医療機関に対する大幅な財政支援を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年7月 日
西宮市議会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣
経済産業大臣