請願第1号 国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願
請願第1号
よつや 薫
野口 あけみ
請願第1号
令和5年6月22日受理
国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求
める請願
紹介議員 よつや 薫
野口 あけみ
請願趣旨
ひとたび確定した判決であっても、もし冤罪の恐れがあるならば、人道的観点から、あ
るいは基本的人権尊重の趣旨から、できる限り刑事司法制度の中で救済の道を開くことが
必要です。
とりわけ、冤罪の可能性があるにもかかわらず、取返しのつかない死刑という極刑が確
定してしまった場合には、確実にすみやかな再審の道が用意されなければなりません。
長年にわたり、冤罪を指摘されていた袴田事件では、本年3月、東京高等裁判所が再審、
裁判のやり直しを認める決定をしました。決定では、有罪の根拠とされた証拠について
「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」とし捏造≠フ疑いにまで言及しました。先立
つ2014年に静岡地裁が再審開始を決定、袴田巌さんは釈放されました。判決は、国家
機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、これ以上
袴田さんの拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する状況にある、とまで指摘していま
す。
これを不服とした検察が東京高裁に抗告したために再審実現は今日まで9年もの無駄な
時間を費やしてしまいました。再審開始への道が開けたのは、検察が特別抗告を断念した
からにすぎません。今も死刑囚≠フ汚名を着せられたままの袴田さんは、死刑執行にお
びえる長い月日を耐えるために自らの内なる世界を形成しています。
日本の再審制度は、「間違った裁判をやり直してほしい」という再審請求手続きと、実
際にそれを受けておこなわれる再審公判手続きという二段階の制度の組み立てになってい
ます。
しかし多くの場合、再審開始決定が出されても、検察がこれを認めず不服申立て(抗
告)をして争うという対応をしています。そのため、再審にたどり着くまでに長い年月が
かかり、その陰で冤罪に泣いた多くの無実の方々が存在しています。
だから、再審の条件をいたずらに厳格かつ形式的に解し、再審の道を閉ざすことがあっ
てはならないと考えます。無辜の人を決して罰してならないとする再審制度の趣旨をくま
ず、機械的に再審を拒むとするならば、再審制度の存在意義は失われます。
現在の再審制度は刑事訴訟法「第4編再審」のみで、極めて大ざっぱな規定です。
無辜の市民の訴えである再審の道をむつかしくしている点は次の2点です。
@捜査段階で集めた証拠が開示されないことです。全ての証拠を隠すことなく弁護団の
開示請求に応じ、真実解明に役立てるべきです。A検察官の抗告権です。都合の悪い証拠
を隠して置きながら、裁判所が再審開始決定を出しても従わず、即時抗告、特別抗告をお
こない、裁判を長期化させ、場合によっては、存命中に再審開始に至ることができない事
態にもなり、人道的観点からも許されません。
以上の趣旨をふまえ、国に対して下記の項目の意見書を採択してください。
請願事項
現行の「刑事訴訟法の再審規定」について次の2点に留意した改正を求める意見書を国
に提出すること。
1 再審における検察の手持ち証拠のすべての開示を制度化する。
2 再審開始決定に対する検察の「不服申し立て」の禁止を制度化する。
請願者 西宮市上田中町
西宮市冤罪犠牲者の再審を求める市民の会
代表 村上 啓子