請願第11号 法曹人口政策の早期見直し及び司法修習生への経済的支援の実施を求める意見書についての請願
請願第11号
やの 正史
請願第11号
平成28年9月6日受理
法曹人口政策の早期見直し及び司法修習生への経済的支援の実施を求める意見書についての請願
紹介議員 や の 正 史
請願趣旨
国は、平成14年3月、今後法的需要が増加し続けるとの予想に基づき、年間500人程度であった司法試験合格者数が、当時既に年間1000人程度に増員されていたにもかかわらず、平成22年頃には年間3000人程度とすること及び法科大学院制度を新設することなどを内容とする「司法制度改革推進計画」を閣議決定した。
その後、司法試験合格者数が増員され、平成19年以降、年間2000人超で推移してきたが(但し、平成26年は1810人、平成27年は1850人)、この間、裁判官及び検察官はほとんど増員されなかった結果、弁護士のみが急増することとなった。
一方で裁判所の全新受事件数は、ピークであった平成16年の6割程度に減少するなど、急増する弁護士数に見合うほど法的需要は増加しなかったため、需給バランスが大きく崩れ、司法修習生の法律事務所等への就職難が生じ、実務経験による技能習得の機会(オン・ザ・ジョブトレーニング)が不足するといった問題が生じるとともに、法曹志願者が激減することとなった。
また、法科大学院入学から司法試験合格までの学費、生活費の負担に加え、司法修習生の給費制が廃止されて「貸与制」が導入されたことにより、法曹となった時点で多額の負債を抱える者が発生するようになった。
このような状況を踏まえ、国が設置した法曹養成制度関係閣僚会議が平成25年7月に、司法試験合格者数を年間3000人とする目標は非現実的として事実上撤回し、さらに、国が設置した法曹養成制度改革推進会議が平成27年6月に、司法試験合格者数について年間1500人程度という具体的な数字を出したことは一定の評価をすることができる。しかしながら、上記決定には、年間1500人程度を上回る規模を視野に入れているかのような記述が含まれており、現状に対する危機感が不足していると言わざるを得ない。
この点、日本弁護士連合会においても、平成28年3月11日、「まず、司法試験合格者数を早期に年間1500人とすること」との決議がされており、少なくとも年間1500人への早期減員を求めている。
以上の通り、早急に合格者数を大幅に削減して就職難等の問題を解決しない限り、法曹志願者の激減等の問題がさらに深刻化することは避けられず、最終的には司法の弱体化によりエンドユーザーである国民が不利益を被ることになるのであり、司法試験合格者数についてはさらに大幅に減少させる方針を早急に打ち出す必要がある。
また、法科大学院入学から司法試験に合格するまでの学費、生活費の負担に加え、司法修習生の給費が失われたこと等による経済的負担増加が法曹志願者の減少の要因の一つになっている。多様で有為な人材を法曹界に確保するためにも、修習手当の創設等の司法修習生に対する経済的支援が実施される必要がある。
よって、国におかれては、国民の利益を適正に確保するため、適正な法曹人口となるよう司法試験合格者数を大幅に減少させるとともに、修習手当の創設等の司法修習生に対する経済的支援を実施すべきである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を貴議会において可決していただきたく請願する次第である。
請願事項
司法試験合格者数の大幅削減及び司法修習生に対する経済的支援の実施を求める意見書の提出を求める。
請願者 神戸市中央区橘通
兵庫県弁護士会
会長 米 田 耕 士