請願第32号 兵庫県教育委員会に対し「入試制度の変更に関する意見書」の提出を求める請願
請願第32号
上田 さち子
田中 正剛
請願第32号
平成25年6月25日受理
兵庫県教育委員会に対し「入試制度の変更に関する意見書」の提出を求める請願
紹介議員 上 田 さ ち 子
田 中 正 剛
請願趣旨
日頃、西宮市民のためにご尽力いただいていることに敬意を表します。
さて、兵庫県教育委員会は、昨年(2012年)1月6日、
@ 県立高校普通科の通学区数を現在の16学区から5学区にすること。
A 2015年2,3月の入試(現在の中学校2年生から)から実施すること。
の2点を趣旨とする「基本方針」を発表しました。さらに同年12月20日の「改善」で「その他校希望」の廃止を発表しました。
兵庫県教育委員会は複数志願制度導入時に、「複数志願制度は総合選抜制度と単独選抜制度の優れた点を併せ持つ制度」とし、「その他校希望が、一定の点数をとればどこかの公立高校に行けるという総合選抜制度の優れた点を実現している」と説明していました。
また市教委もそういう立場に立ち、市民に対しても表明していました。複数志願制度による入試の実施後も、総合選抜制度の良い点が「その他校希望」で生かされているとしていました。そして、一昨年度からのいわゆる「学区拡大」をめぐる議論のなかにおいても、「その他校希望」について、市教委、議会ともども、これを継続していくべきとの考えを表明してきました。
つまり、西宮学区への総合選抜制度廃止・複数志願制度導入以後現在にいたるまで、「一定の点数をとればどこかの公立高校に行けるという“その他校希望”」という点は、学校現場、PTA、保護者はもちろん、市教委、市議会など行政もふくめた言わば“オール西宮”で一致しているということが言えるのではないでしょうか。
これまで複数志願制度の入試が5回行われました。総合選抜制度が長年根づいていた西宮学区では、現在も多くの受験者が「その他校希望」を利用しています。それは眞鍋前教育長の答弁にもあるとおりです。(ちなみに県教委は“合格者”に占める「その他校希望」利用者の割合を示して、利用者が少ないことを強調しています。)このような経緯があるからこそ、西宮市教委は昨年度の市内各地での「説明会」で、「その他校希望」存続を前提とした説明を行ってもいます。
つまり「行きたい特色をもった学校を複数校選ぶことができる入試制度という複数志願制の趣旨を生かすためのセーフティーネットがその他校希望である」わけです。これがなくなれば、広い学区の中で、遠い学校を「第2希望校」として選ばざるを得ない子どもが生まれます。とりわけ経済的に困難な家庭にとっては、「どうしても公立高校にしか行かせられない」ことと、「通学費が高額だと通えない」ことの狭間で、結果的に高校に行けない子どもが生まれることが懸念されます。また、定員の割れる高校が出ることも予想できます。兵庫県教育委員会には、十分な配慮を求めたいのです。
さらに、「その他校希望」問題だけではなく、「現中学2年生から実施」すること、「基本方針」、「改善」以外に県教委からの具体的な説明がなく、現場任せで県教委がリードすることもなく、そこへ受験産業からの情報だけが入ってくることで、中学校現場、保護者、本人などに強い不安と混乱が起こっています。
たとえば保護者や本人においては、「本当に行きたい近くの高校に行けるのだろうか」「高校が遠くなれば、勉強と部活の両立ができるのだろうか」「現在各地域で異なる加算点はどうなるのか」「多くの地域が一つの学区となって公平な評価ができるのか」などの不安が起こっています。それは、各中学校での1・2年生保護者を対象とした進路説明会(かつては3年生のみでした)や6月15日の市教委等主催の高校合同説明会が満員となるなどの形で表れています。
中学校現場では、国公私立あわせて100校ほどもある高校への的確な進路指導が非常に困難になるのではないかなどの不安があり、「実施」まで2年を切っているのに具体的なことが示されずシミュレーションできないなどの状況にあります。
以上のように保護者、中学生、中学校教師の不安と混乱は大きいものになっています。
以上のような趣旨に立ち、次のことを請願します。
請願事項
西宮市議会として、以下の内容の意見書を兵庫県教育委員会に提出して下さい。
学区及び入試制度を改変するに当たって、次の点に配慮をしていただきたい。
1 「その他校希望」存続など、「一定の点数をとればどこかの公立高校に行ける」制度とすること。
2 保護者、本人、中学校現場などの不安や混乱を解消するための方策を直ちに行うなどの十分な配慮を行うこと。
請願者 西宮市松原町
全教西宮教職員組合
執行委員長 合 田 幸 美
ほか3団体