意見書案第14号 「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を求める意見書提出の件
意見書案第14号 議決第158号
平成24年3月26日議決原案可決
「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を求める意見書提出の件
上記意見書案を次のとおり西宮市議会会議規則第14条第1項の規定により提出する。
平成24年3月26日提出
提出者 西宮市議会議員 佐藤みち子
〃 やの 正史
〃 上田さち子
〃 木村嘉三郎
〃 篠原 正寛
〃 長谷川久美子
〃 松山かつのり
〃 八木米太朗
〃 山田ますと
〃 和田とよじ
「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を求める意見書(案)
今、国民の「こころ」は深刻な状況にある。平成10年から毎年3万人以上の人が自殺により命をなくしている。平成17年には300万人以上、つまり、国民の40人に1人以上の人々が精神科を受診するようになり、今も増加傾向が続いている。また、自殺との関係が深いうつ病患者は100万人を超えている。
西宮市でも1万人以上の方々が精神科を受診しており、このうち、平成23年12月31日現在の自立支援医療(精神通院医療)受給者数は4,210名である。自殺も最近の5年間(平成18年から平成22年)で409名にのぼっている。
WHO(世界保健機関)の個人と社会が被る損失を計算した健康・生活被害指標(DALY)によれば、先進諸国では精神疾患がガンや循環器疾患に比べても、もっとも政策的重要度の高い疾病であることが明らかになっている。国内でも、平成23年7月、厚生労働省は、従来の「4大疾病」(ガン、脳卒中、心臓病、糖尿病)に精神疾患を加えて、「5大疾病」とした。因みに、糖尿病237万人、ガン152万人に対し、精神疾患は323万人(平成20年患者調査)にのぼり、重点的な対策が不可欠と判断された。
精神疾患に関しては、他の2障がい分野に比べ、人権・医療・福祉ともにハンディがある。精神疾患の疾状による社会生活の困難さは外からは見えにくく、本人の生きにくさが理解されにくいことなどから、他の2障がいとは大きく異なり、きびしい境遇に置かれてきている。
福祉分野では、平成18年4月に3障がいを一緒に支援する障害者自立支援法が施行されたが、精神障がい分野のサービスの基盤体制の構築は立ち遅れている。
医療においても、他の科とは大きな違いがある。精神科以外の入院病棟では、患者16人に対し、医師は1人以上となっているが、精神科入院病棟では、患者48人に対し、医師は1人となっている。看護師の配置も一般の医療水準よりも低く設定されており、慢性的な人手不足の状態である。
地域で暮らす患者を支える家族に対しても支援が必要であることが、最近になって、ようやく認識されるようになった。英国では1997年から医療改革・自殺予防に取組み、10年間で15.2%減少という成果を上げている。長期に精神障がい者を持つ家族が精神健康上の困難を持つ率は、一般の人々の3倍であることもわかっている。家族への精神疾患・治療についての情報提供、実際的・情緒的な支援などが必要であるが、日本ではこの部分も皆無に近く、ようやく家族教室などが開かれ始めたところである。
厚生労働省は平成20年度から21年度にかけて、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を設け、現状を網羅的に明らかにし、今後の望まれる施策を報告した。この報告を基に、平成22年4月から当事者・家族27名、医療福祉の専門家及び学識経験者63名が集まり、「こころの健康政策構想会議」を設立した。
この会議では、当事者・家族のニーズに応えることを基本に据え、60回以上会議を重ね、精神保健医療の現状と課題についてあらゆる角度から論議を深め、現実の危機を早く根本的に改革するよう提言をまとめ、22年5月末に厚生労働大臣に「精神保健医療改革に関する提言書」を提出した。
この中で、@精神医療改革、A精神保健改革、B家族支援の三つを軸として、国民すべてを対象とした、こころの健康についての総合的、長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めている。この提言に賛同する個人や団体は、広く国民から署名を集め、国会への請願の準備も進めている。この取り組みは多くの国会議員の支持を得て、超党派の議員連盟が立ち上がっている。
よって、国におかれては、「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」を早急に制定されるよう、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年3月 日
西宮市議会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣